ストーリーメーカーはこれまで18年もの間、企業のストーリー作成やメディアやデジタルチャネルを駆使したストーリーテリングを続けてきました。今回は、そんなストーリーメーカーの創立期メンバーで現在は代表取締役のビョルン・アイヒシュテットが、ストーリーメーカー自身のストーリーを始め、日本事業の成り立ちから欧州市場における日本企業のコミュニケーション課題について話しています。

 

テクノロジー×ジャーナリズムへの世界へ

(聞き手: )

ストーリーメーカーとの出会いは?

 

アイヒシュテット: 今から約18年前、私がストーリーメーカーで最初の新人研修員になったことにはいくつか偶然があったのですが、そもそも学生時代からテクノロジーやPRの分野に興味を持つきっかけが3つありました。まず一つ目が、90年代初頭に始まったインターネット時代の到来です。当時まだコンピューターは大学など特定の場所でしか普及していませんでしたが、その頃から大学のパソコンルームへ行ってはインターネットに触れていたことをきっかけに、インターネットへの関心が高まっていきました。1994年に初めてブラウザーを開いた時の事を、今でも鮮明に覚えています。現在はデジタルトランスフォーメーションの話題でもちきりですが、それと同じように当時はインターネットの話題ばかりでしたね。

また、当時フリージャーナリストとして地元メディアで記事を書いていて、その当時の仕事からも影響を受けました。調査開始時点ではあまり知らなかった事柄を深堀りし、それを記事として執筆することに興味を惹かれていったんです。

最後のきっかけですが、これは大学での専攻に関わっています。専門は神経生物学で、修士論文では「人の関心を視覚的にどのように引き付けるか」というテーマで書きました。

これら3つの要素が合わさったことで、ITやマーケティング、PRに関する仕事を探そうと考えるようになり、最終的にはストーリーメーカーで働くことになったわけです。

 

「ストーリーメーカー」とは何を意味しているのでしょうか?

 

アイヒシュテットストーリーメーカーの創業者であるハイデラン・ハーグが、80年代にテクノロジー分野のジャーナリストとして働いていた頃、テクノロジー企業のほとんどがその企業のストーリーを伝えていないことに気付きました。彼らは、ほとんど誰も理解できないような技術の詳細や事実情報しか伝えていなかったのです。しかし、彼女にとって関心のある要素は、「企業が何者であるのか、事業背景や今後のビジョン、そしてその企業自身が市場や人々とどのような関連性があるのか」といったものでした。

このジャーナリストとしての気づきから、この現状を変え、製品推しではなくより良い企業ストーリーを伝えていく必要があるという想いから、ストーリーメーカーという名前で企業を設立しました。

 

 

先駆者であり続ける為の好奇心と仕事の質へのこだわり

 

-ストーリーメーカーの企業文化をどのように表現しますか? ストーリーメーカーについて教えてください。

 

アイヒシュテット「好奇心」、という言葉が相応しいかもしれません。これまで沢山のことをやり遂げパイオニアとしての地位を確立してきましたが、これも好奇心があるおかげです。例えば、「ストーリー」は今でこそマーケティング戦略において話題になっていますが、私たちは既に18年前からその重要性に焦点を当てていました。

ストーリーメーカーの基本理念は、”全ての企業には唯一無二のストーリーがあり、その独自のストーリーを企業に合った方法で伝えることが、聴き手(ターゲットオーディエンス)とのコミュニケーションを図る上で重要である”、というものです。また、私達のビジョンは、その企業のストーリーと企業がリーチしたい聴き手のストーリーを繋ぐ、橋渡し役になることです。ここで言う聴き手とは、現存・潜在を含む、顧客や従業員、あるいは社会全体をも意味しています。

要するに、ストーリーメーカーの企業文化とは、先駆者としての好奇心から常に新しい事を楽しみながら探すこと、ストーリーデザインを基軸に質の高い仕事をしていくことに強いやりがいを見出しています。

 

 

“ZERO to HERO” & “WHY”

「ゼロ・トゥ・ヒーロー」、そして注目すべきWhy

 

-「ストーリーテリング」とは何でしょうか? ストーリーメーカーとしてどのようなサービスを提供していますか?

 

アイヒシュテットストーリーテリングの説明の前に、まず”ストーリー”とは何かについて話しますね。ストーリーとは、ある人(もしくは事柄)の成長の過程や変化、紆余曲折の旅や冒険を語る物語です。例えば、その人(企業)がどこから来て、どこへ向かっているのか。私達はこれを「ZERO to HERO (ゼロ・トゥ・ヒーロー)」と呼んでいます。つまり、普通の人があらゆる困難を乗り越えて「ヒーロー」になるまでのスーパーヒーロー物語です。

 

 

このように、ストーリーとは主人公の成長を描いた唯一無二の物語を示しており、すべての個人・企業・顧客には、それぞれ独自のストーリーがあるはずです。つまり、ストーリーテリングとは、自分が誰で、どのような旅をしていて、その活動がどのように周りの旅の助けになるのかを伝えて理解してもらう為の重要な活動であると同時に、コミュニケーションの礎となるものです。そしてこれが企業と聴き手側とのコミュニケーションの本来あるべき形だと考えています。

 

良いストーリーテリングにおいて重要な要素の一つは「Why – なぜ」に焦点を当てることです。

 

その企業のモチベーションやアイデアの源泉はどこにあるのか、その市場でビジネスを行う理由は何か、なぜその方向に進みたいのかなど、「なぜ」に焦点を当てたストーリーを伝えることによって聴き手が企業のストーリーを理解しやすくなります。そしてこの「なぜ」の部分こそがコミュニケーションにおいて重要なのですが、特にテクノロジー企業においては商品や技術的な特徴については多くを語ることができるものの、「なぜ」という部分が抜けてしまう傾向にあります。そのような企業と聴き手との間の橋渡し役として、私達はストーリーメイキングのアプローチを用いて企業の唯一無二のストーリーデザインを手助けしています。

 

情報の「流れ」を意識したストーリーテリング

 

-この数年でストーリーテリングへの関心が高まってきていますが、なぜこのような変化が起こっているのでしょうか?

 

アイヒシュテット:理由はいくつかありますが、ソーシャルメディアの登場は一つの大きな要因だと考えています。ソーシャルメディアが登場する前までは、各メディアにプレスリリースを送って新聞や雑誌などの記事にしてもらうことがPR活動の主な目的であり、それが企業の発信した情報の終着点でした。このようなコミュニケーションにおいては、情報の受け取り手の反応はほとんど知ることはできません。それに対して現在ではソーシャルメディアを通じて、企業が発信したストーリーとその伝え方に対して、受け取り手がどのような反応をし、どのようにその情報をシェアするのか、またどのような情報が好まれ、シェアしたいと思われるのかという事が分析できるようになったことで、発信するストーリー自体の質とその伝え方の重要性への関心が高まってきていると思います。要するに、単なる事実ベースの情報発信よりも、良質なストーリーを含む情報に対して人々はよりポジティブな反応を示す傾向があるので、それに伴ってストーリーデザインあるいはストリーテリングへの注目が集まっているのです。

 

 

続く第二弾ではストーリーメーカーが日本事業を始めたきっかけについて紹介していきます。

(後編はこちらから。)

 

 


ストーリーメーカーは、日独・欧州との架け橋として日系企業のブランドストーリーに着目し、ドイツや欧州市場への進出時や現地での認知促進を望む企業に対して、最適なコミュニケーション戦略の立案・施行を行っています。テクノロジー企業の独・欧州進出支援をする一方で、私たちストーリーメーカーも常に最新の技術や製品に関心を持っています。

ご不明点やご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

齋 直杜 (Naoto Sai): n.sai@storymaker.de